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◆帆足杏雨生誕200年記念

 

○はじめに

2010年は杏雨が生誕し200年の節目にあたり、大分市美術館では杏雨展や特別セミナー、また出身地大分市中戸次では記念スケッチ大会が開催された。当豊後アート企画は、地元の戸次本町で杏雨作品の展示・販売・デジタル鑑定を実施し好評を頂いた。

ところで、杏雨のプロフィールについては、杏雨の子孫で大分市在住の帆足溢男氏が平成14年に発行した南画家「帆足杏雨」(A4版74ページ)が非常に判り安く編集されているため、著者の了解を頂き抜粋版でその内容を紹介する。 

 

頼山陽が杏雨を称えた言葉に「竹田の画は野逸、杏雨の画は富貴、しかして竹田翁の正脈を伝うる者に杏雨あり」と伝えられるように、杏雨の絵は色彩感覚に優れ、気品があり、優美で観る人の心を癒し豊かにしてくれる。豊後の戸次という当時はまさに草深い片田舎に生を受けた杏雨がどのようにしてわが国有数の南画家として成長していったのかを紹介する。

 

 

目 次

1 杏雨を育てた環境

①温和でやさしく穏やかな人がら

②大家族の中で育つ

③戸次の風土と帆足家

④田能村竹田との出会い

 

2 絵と学問を志す

①竹田荘と咸宜園に入門

 

3 南画人としてのスタート

①頼山陽との出会い

②南画人として生きる決意

③再び京阪の地へ

④西遊の旅

 

4 自立の道へ

①竹田の死

②結婚し独立

③東遊の旅へ

④作風の転換

5 自己の画法の確率

①たび重なる不幸

②独自の絵の創造

③花開く富貴の世界

 

6 幕末から明治へ

①尊王攘夷論への共鳴

②画風の変化

 

7 晩年を迎えて

①妻と息子の死

②聴秋庵を建てる

③万国博覧会に出品

④殺到する絵の注文

⑤杏雨の門人たち

⑥最晩年の杏雨

⑦杏雨に学ぶ